仕事図鑑

アニメ・CG業界の仕事

メタバースクリエーター

関わる業務は多岐に渡り、高度な技術を求められる分、やりがいもひとしおです。

ーVRアーティスト(メタバースクリエーター)ー

メタバースクリエーターとは

インターネット上の3次元仮想空間を創り出す職業

メタバースは「超越」を意味する「Meta」と、「宇宙」を意味する「Universe」が合わさった造語で、「インターネット上に構築された3次元の仮想空間」のことを指します。コミュニケーションを目的としているのが大きな特徴で、仮想空間の中でアバターと呼ばれる自分の分身を操作して他のユーザーと自由に交流することができます。メタバースは、ゲームやイベントへの参加、会議やECなどのビジネス使用、NFT売買などさまざまなシーンに活用されています。メタバースクリエーターは、そうした3DCG空間そのものや空間の構成要素を作っています。

メタバースクリエーターの仕事内容

さまざまな専門技術を駆使してメタバースを作る

制作フェーズや構成要素などによって職種や仕事内容は多岐に渡ります。制作フェーズとしては開発・デザイン・コンテンツ制作に分けられます。また、メタバースは大きく①ワールド(背景・建造物・自然物などから成るバーチャル空間)②プロップ(ワールド内に存在し触れることができる小物などのアイテム)③アバター(ユーザーの分身であるキャラクター)から構成されており、これらの構成要素別で分業されることもあります。メタバースクリエーターの仕事は多くの種類がありますが、「ゲームエンジンを使用した開発」および「3DCG制作」が、メインの仕事として比較的よく認識される傾向にあります。

エンジニア

メタバースの世界を作るのは3Dゲームの開発とほとんど変わりません。ゲームエンジン(ゲームを制作する上で共通して使用される機能をあらかじめ搭載したソフトウェア)を使用してバーチャル空間やシステムを開発します。他にも、サーバーやネットワークの開発や構築を行うサーバー開発エンジニア、サーバーのセキュリティ対策や保守を行うインフラエンジニアやセキュリティエンジニア、メタバースのスマホアプリを開発するAndroidエンジニアやiOSエンジニアなど、エンジニアの仕事は幅広い領域に分かれています。

デザイナー

3DCGデザイナーが、アバター・プロップ・ワールドの背景などメタバースの構成要素のデザイン、モデリング、リギング、テクスチャ、アニメーション、エフェクト、ライティング、レンダリングなどを行います。それぞれ「モデラー」「リガー」など、制作工程ごとに分業されることも多いです。絵がうまく描けなくても3DCGデザイナーになることはできますが、観察力や造形力を養うことができるデッサン力を身に付けていると有利です。またUI/UXデザイナーは、メタバースの操作性やユーザー体験を向上させる導線をデザインします。

その他

メタバース空間で流れる音楽を作るサウンドクリエーター、メタバース内のゲームを作るゲームクリエーターなど、メタバースに関わる仕事は多種多様です。また、NFTアーティストもメタバースを作るクリエーターと言えます。NFT(Non-Fungible Token)は「代替不可能なトークン」と訳され、データを改ざんさせないブロックチェーン技術によってそのデータが唯一無二であることを証明するもの。デジタルアートにNFTを反映させたものがNFTアートです。NFTと親和性が高いメタバース内では、NFTアートが多く利用されています。

メタバースクリエーターになるには

メタバースクリエーターへの道のり

エンジニアの場合は、PC・ネットワーク・プログラミングの知識や、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンを扱うスキルを身に付ける必要があります。デザイナーの場合は、デッサンやデザインの能力を上げながら、MayaやBlenderなどのDCCツールを扱えることが重要です。いずれも基礎力と高い技術力が求められるため、独学よりも大学や短大、専門学校で、身に付けたい分野を体系的に学び、実際に制作して知識と技術の習得を目指しましょう。卒業後は、メタバースの構築を専門とする会社や、メタバース事業部を社内に持つ会社、ゲーム制作会社、アプリ開発会社などへ就職して、クリエーターとしての道を進んでいきます。制作実績を重ねてチームを牽引するプロジェクトリーダーになる、専門性を追求してフリーランスになるなど、その後のキャリアはさまざまです。

求められる知識・資質を磨く

デジタルスキル

目指す職種によって、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジン、C#・C++・Javaなどのプログラミング、Maya・Blender・3ds Maxなどの3DCGソフト、IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトを扱えることが重要です。

コミュニケーションスキル

一般的にはさまざまなポジションの人たちと分業してメタバースを作り上げることがほとんどです。協調性を身に付け、制作メンバーと意思疎通し合うコミュニケーション能力が求められます。

メタバースの知識

メタバースを取り巻く状況は現在進行形で進んでおり、例えばWeb3.0やブロックチェーン技術など、メタバースに関わる情報を常に把握し理解しておく必要があります。新しい情報は、目覚ましい利便性の一方で潜んでいるリスクにも目を向けることが重要です。

メタバースクリエーターに必要な資格や試験情報

メタバースクリエーターになるために必要な資格や試験はありませんが、エンジニアはゲームエンジン、デザイナーは3DCGソフトの操作スキルは必須です。技能の証明に役立つ資格として、エンジニアの場合は、基本情報技術者試験、C言語プログラミング能力認定試験、Java™プログラミング能力認定試験、Unity認定資格があります。デザイナーの場合は、CGクリエイター検定や、Photoshopクリエイター能力認定試験やIllustratorクリエイター能力認定試験といったAdobe製品の操作スキルを証明できる資格もあります。メタバースの分野は日々拡大し進歩のスピードも速いため、新しい知識や技術を学び続ける努力が欠かせません。