LPIC(Linux技術者認定試験)
LPIC(Linux技術者認定試験)はこんな資格!
- 世界で通じるグローバルな資格!
- Linux技術者としてスキルを証明できる
- 難易度に応じていくつかのグレードがある
LPICとは?どんな資格?
LPIC(エルピック)の正式名称は「Linux Professional Institute Certification」でLinux技術者認定試験とも呼ばれています。難易度別にLPIC-1からLPIC-3までのレベルがあり、LPIC-3は専門分野別に3種類の認定試験があります。上位グレードの受験資格として下位グレードの取得があるため、上位資格の取得を目指すときでもLPIC-1から順番に挑戦することとなります。
Linuxはカスタマイズの幅が広いOSであるため、業務用システムやインターネットサーバーを構築する時に良く利用されている意外と身近なOSです。
LinuxはクラウドサービスのOSとして利用されていたり、宇宙開発を行っているSpaceXやNASAでも利用されていたりと汎用性の高いOSではありますが、その分習熟も難しいためLPICのような客観的指標は重宝されています。とくにLPICは20年以上の歴史がある実績と世界統一の試験問題による国際的な認定を受けられるメリットがあるため日本でも人気があります。
LinuCという資格とはどういう関係ですか?
LinuCは日本のLPIC認定を長らく運営していたLPI-Japanが2018年から始めた日本独自のLinux技術者認定です。LinuCを始めたことでLPIとLPI-Japanの関係は解消され、現在ではLPI日本支部が日本でのLPICの運営を担当しています。
LPICとLinuCは内容もよく似た試験で一緒に扱われることもありますが、運営の違うまったく別の認定試験なのでLPICを受けようとしてLinuCを受験してしまったりその逆がないように注意しましょう。
LPICに合格するメリットはなんですか?
Linuxを利用している製品は多く、とくにスマートフォン、テレビ、ルーターなどに搭載する「組み込みシステム」と呼ばれる分野でよく使われています。近年のIoT機器の普及によってますますシェアが伸びているため、Linux技術者の需要は増えると考えられます。また、組み込みシステムだけでなく会社のインフラとなるようなシステムでの採用も多いため、特にインフラエンジニアのような職業では役立つでしょう。さらに、LPICは世界標準の資格なので就職や転職でも有利に働きます。Linuxを扱う企業であれば国内企業、海外企業を問わずLPICを知っている可能性が高いので自分のスキルをアピールしやすくなります。
試験の難易度はどのくらいですか?
合格率は非公開となっているため不明ですが、LPIC-1はLinuxのインストール方法やシェルの扱い方など、基本的な知識を問う設問があることからわかる通り比較的難易度が低いです。LPIC-2ではシステム構築や保守、ファイルサーバーの作成、システムのセキュリティなど高度な内容が増えるため難易度は上昇します。仕事で実務経験を積みながらスキルアップのために取得を目指すとよいでしょう。
LPIC-3になると専門別にsambaを中心とした混合システムの構築、暗号化やセキュリティ、クラウドコンピューティングのような仮想化技術など専門的かつ高度な内容を問われるので知識と実務経験が豊富な人でなければ合格は難しいでしょう。
このようにLPIC-2から独学では理解が難しいことも増えてきます。そのため、専門学校のような教育機関で学んだり実務で実機に触りながら経験を積んだりしてLinuxへの理解を深めることが重要となります。
公式で開催している勉強会に参加するなど学習リソースをうまく使って勉強するのがオススメです。
また、客観的指標であるITスキル標準の認定ではLPIC-2が基本情報技術者試験と同じレベル2、LPIC-3が応用情報技術者試験と同じレベル3になっています。LPICの難易度のイメージをつかむ参考にしてみてください。
試験の時期や試験会場はどうなってる?
LPICはピアソンVUEというサイトに登録して試験日の予約を行います。1年を通して受験できるので自分の都合のよいタイミングで試験に臨めます。
試験会場はピアソンVUEが提供するテストセンターから選べます。2020年からはオンライン受験も可能となったので自宅や職場、学校からでも受験できますが、事前に受験スペースの写真をアップロードして確認してもらう必要があったり、試験中に第三者が入室してはダメなどいくつか条件があるので事前に確認してみてください。
LPIC-1、2の認定を受けるには2科目で合格しなければなりませんが、同時に受験する必要はなく片方に合格してから5年以内にもう片方も合格すれば認定を受けられます。
受験料として1科目につき、15,000円の費用がかかります。LPIC-1とLPIC-2はそれぞれ「101試験と102試験」、「201試験と201試験」の2つの科目で合格しないと取得できないため、LPIC-1、2の認定を受けるためには30,000円の費用がかかることになるので注意してください。
LPICには有効期限があるの?
IT系資格を受験する時に注意しなくてはならないのが、IT系の資格の中には古くなると合格当時のスキルがあまり意味をなさなくなってしまう資格もあるということです。そうした資格の場合有効期限が設定されていることがあります。LPICに有効期限はないので資格が失効することはないのですが、資格取得後5年間が有意性の期限となっています。有意性が切れてしまうと資格が現役のスキルを持っている証明として使えなくなってしまいます。有意性を維持するには上位のグレードに合格するか、再認定に合格する必要があるので合格後もスキルアップを忘れないようにしましょう。
LPIC-1、2のように科目が2つある試験の場合、2つ目に合格した試験の合格日が認定日となり、そこから5年間有意性が維持されます。
試験形式
LPIC-1 | ||
---|---|---|
試験名 | 試験時間 | 試験形式 |
101試験 | 90分 | 選択式、空欄式 |
102試験 | 90分 | 選択式、空欄式 |
LPIC-2 | ||
---|---|---|
試験名 | 試験時間 | 試験形式 |
201試験 | 90分 | 選択式、空欄式 |
202試験 | 90分 | 選択式、空欄式 |
LPIC-3 | ||
---|---|---|
試験名 | 試験時間 | 試験形式 |
300試験 | 90分 | 選択式、空欄式 |
303試験 | 90分 | 選択式、空欄式 |
304試験 | 90分 | 選択式、空欄式 |
まだ進路も悩んでいる…
どんな職業で役に立つ?
資格が役立つ業界・職業
インフラエンジニア
サービスを提供するのに必要となるサーバーやネットワークを設計・運用・保守するのがインフラエンジニアです。サーバーに特化したサーバーエンジニア、ネットワークに特化したネットワークエンジニアへと専門が分かれることもありますが、両方をこなすインフラエンジニアも存在します。
システムの構築にはLinuxを使うことがよくあるのでLinux技術者としての技術を存分に発揮できます。
ネットワークエンジニア
ネットワークを使用するシステムを構築・保守するのがネットワークエンジニアです。ネットワーク構築に使用するハードウェア、ソフトウェア両方の構築を行うのでネットワーク機器の扱いやLinuxによるシステム構築の方法などに精通しています。
インフラエンジニアと同じ職業として扱われることもありますが、インフラエンジニアに比べてよりネットワークに特化した役割を持ちます。ネットワークを構築する場合、基盤システムとしてLinuxが使われていることが多いのでLPICのようなLinux技術者認定を持っていると就職や実務で役立ちます。
クラウドエンジニア
AWSのようなクラウドサービスを使い仮想空間上にシステム構築をするのがクラウドエンジニアです。物理的にサーバーを持つ必要がないことや必要に応じて規模を増減できる拡張性の高さなどが支持されクラウドサービスの利用は急速に拡大しています。
AWSのAmazon LinuxなどこうしたクラウドサービスではベースのOSとしてLinuxを使用していることが多いです。そのためLinux技術者としての知識を持っていればシステム構築の役に立ちます。
LPIC以外にはどんな資格がある?
CCNA (Cisco Certified Network Associate)
ネットワークエンジニアを目指す場合CCNAが役立ちます。ネットワークの基礎知識やルーターのようなシスコ製品の扱い方を学べるため、LPICと合わせるとネットワークとサーバー両方のスキルが身につきます。
CCNPにはいくつかの種類がありましたが、2020年12月から新試験形式となり1つにまとまりました。その分難易度が高くなっていますが、試験が減って受けやすくなった面もあります。
基本情報技術者試験
IPAが実施している国家試験です。ITエンジニアの登竜門的な資格なのでITエンジニアを目指すならLPICと同じくとっておいて損はない資格といえるでしょう。
ITスキル標準の認定では難易度はLPIC-2と同程度なので少なくともLPIC-1に合格できるだけの実力を身につけてから挑戦するのがオススメです。