マンガ家

村田 雄介さん

『アイシールド21』 『ワンパンマン』作画

何にでも興味を持つ好奇心を忘れないこと。

村田さん: マンガとの最初の出会いは鳥山明先生の『Dr.スランプ アラレちゃん』。シンプルだけどかっこいい絵に感動して、マンガを描き始めました。高校1年の頃に、同世代の人が入選してデビューしていたことに刺激され、本気でマンガ家の道に進むことを決意。半年ぐらいかけて原稿を完成させ、「週刊少年ジャンプ」の編集部に持ち込んで、高校2年の4月にデビューしました。ただ、デビューはできたものの20歳ぐらいまでは、読み切り作品やアルバイトやアシスタントを続ける日々が続きました。

そんな時、先輩のマンガの手伝いでジャンプ編集部に行くことがあり、「作画の話があればお願いします」と言ったところ、コンペがあると声を掛けてもらったんです。それがジャンプ主催の賞のネーム部門で大賞を受賞した『アイシールド21』。アメリカンフットボールの防具を描くのが面白そうと提出し、作画担当に決まりました。実はこの頃、自分は原作やネームよりも、作画が向いているのではと感じていたんです。誰にでも得意、不得意はあります。自分の特性が何か、早く見極めたことがチャンスにつながったと思います。

村田さん: そして『アイシールド21』の連載が終了してしばらくした頃、ONE先生がWebで公開していた『ワンパンマン』に出合いました。100話ほどあったのを一晩で読むほど惚れ込んでしまって。ONE先生にSNSで連絡を取り、自分から合作を提案。読み切りを数本、何社かに持ち込みして回り、ヤングジャンプさんに拾って頂きしばらくして「となりのヤングジャンプ」で「ワンパンマン」のリメイクが決まったのです。

『ワンパンマン』の誕生で分かるように、これまでのマンガ業界は雑誌の編集部が主導でしたが、今は作家同士がSNSで交流し、情報交換をして、あらゆるチャンスをつかむような時代になっています。作品が人気を得るために必要なのは、絵やストーリー、キャラクターなどを含めて、読者を“いかに誘惑できるか”。そのために必要なのは、マンガ家を目指す皆さんが、まず「何にでも興味を持てる好奇心」があること。多くの情報を得て、いろんなモノの見方ができれば、作品を生み出す世界観が大きく広がります。私も今1週間制作をしたら、次の1日は休み、いろんなところに出掛けるなど情報を得るための期間を必ず設けるようにしています。これからのマンガ業界は、SNSをはじめ、VR(仮想現実)、AI(人工知能)などが登場し、大きく変わるかもしれません。どのような時代になっても、好奇心を持ち、学ぶことを忘れなければきっと道は拓けると思います。

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